第三章 爆弾同窓会

19/54
前へ
/643ページ
次へ
 二人のやりとりを見た土井義彦が、教壇近くの席から立ち上がった。手袋を歯で噛んで外し、肌色の手首を机の空いている場所に置いた。 「おいおい、なんだよ、それ……」  笑いながら、椅子に座った中江慎一が、だぼっとしたデニムの左足の裾をめくった。  膝から下の義足を引き抜き、片足でケンケンをするようにやって来て、おらよ、と机の上に大根でも差し出すように放り投げる。 「ごめん、あたしは無理かな。腎臓だから……」  日菜が笑って、自分のお腹を触った。その目が森川航平に向く。 「俺もかよ?」  眉根を寄せて、面倒くさそうな顔をする。 「いいじゃない。あんた、簡単なんだから」  ぶつぶつ文句を言いながら、森川航平が左手の小指と薬指をまとめて引き抜いた。
/643ページ

最初のコメントを投稿しよう!

819人が本棚に入れています
本棚に追加