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二人のやりとりを見た土井義彦が、教壇近くの席から立ち上がった。手袋を歯で噛んで外し、肌色の手首を机の空いている場所に置いた。
「おいおい、なんだよ、それ……」
笑いながら、椅子に座った中江慎一が、だぼっとしたデニムの左足の裾をめくった。
膝から下の義足を引き抜き、片足でケンケンをするようにやって来て、おらよ、と机の上に大根でも差し出すように放り投げる。
「ごめん、あたしは無理かな。腎臓だから……」
日菜が笑って、自分のお腹を触った。その目が森川航平に向く。
「俺もかよ?」
眉根を寄せて、面倒くさそうな顔をする。
「いいじゃない。あんた、簡単なんだから」
ぶつぶつ文句を言いながら、森川航平が左手の小指と薬指をまとめて引き抜いた。
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