第三章 爆弾同窓会

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「で、今日は何の用事なんだ? あんな大げさな手紙をよこして」  土井義彦が自分の右手首をつかみ、腕に装着する。 「今日、みんなに集まってもらったのは――」  義手をはめ直した少年が、左腕に服の袖を引き下ろしていく。 「事件の慰霊をするためではないんだ」  顔を上げ、改めて席についた六人に目を向ける。一種、教壇に立つ教師のような雰囲気があった。 「僕はこの三年間、個人的にあの事件のことをずっと調べ続けた。もちろん警察ではないから、調査といっても限界はある。だけど、被害者という立場のおかげで、警察以上に踏み込んだ情報を手に入れられることもあった」  加害者である中越聖の家に何度も通い、両親と話をしたこと。部屋や遺品も見せてもらったこと。亡くなった生徒の家や担任の谷村先生の奥さんを訪ねたこと……拓己はこれまでの経緯を淡々と語った。
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