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這っていこうとして、右腕の肩口から先がないことに気づく。
「にし――」
かすれ声が途切れ、ごぼ、と野球ボール大の血の塊が口からこぼれる。すうっと辺りが暗くなる。最後に娘の顔を思い浮かべることもなく、斎藤は死んだ。
白煙の揺れる教室の床には、四散した教師の肉片と炭化した少年の死体、それに二つのSIT隊員の亡骸があった。
北側の壁には、バリケードの机に頭を突っ込むようにして古沢佳織が息絶えていた。
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