第六章 封鎖された学園

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「そんな……こんなことって……」  スマホを握った手が机の上に力なく落ちた。ガマが返せ、とばかりに、智也の指から黒いアルミの筐体を引きはがし、学生服の肘でごしごしとガラス液晶をこする。  昨年末に起こった女子高生による校舎立てこもり事件は、日本中の注目を集めた。ネットには「教室自爆テロクラブ」のファンサイトが次々に立ち上がり、ニュースやワイドショーでもその名を聞かない日はなかった。  全国的に爆破予告が相次ぎ、そのたびにイベントが中止に追い込まれた。多くは「教室自爆テロクラブ」をかたる模倣犯で、警察とのいたちごっこが続いていた。  体育祭や文化祭など、学校がらみの行事が標的になることも多く、いじめに遭っている生徒がやっているとも噂されていた。  警察の懸命な捜査で、模倣犯や愉快犯が摘発され、最近はようやく爆弾予告も下火になり、報道も落ち着いてきていた。だからアニフェスが狙われるとは思いもしなかった。
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