第六章 封鎖された学園

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 蒲生と智也は、前と後ろの席で一学期からずっと一緒だった。  気難しいガマとはうまくやっていたと言ってよい。敵を作らない智也のおだやかな性格もあったが、彼は軍ヲタ(軍事マニア)で、智也は声ヲタ(声優ファン)、ジャンルは違えど、オタクという点では通じるものがあったからだ。 「じゃあ、どうしたらいいの?」 「逃げるんだな。とにかく逃げろ。逃げ足が早い奴が生き残る」  それなら自信がある。以前、中学生の不良にカツアゲされそうになったとき、走って逃げ切った。火事場での足の速さでは負けない。  もっとも、とガマが付け足した。 「オクラホマシティの連邦政府ビルを吹き飛ばしたような爆薬だったらあきらめろ。どこに逃げたって同じだ。みんな死ぬ」
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