第六章 封鎖された学園

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「だから、そのときは逃げりゃいいんだよ。だいたい自爆テロ犯つったって、どいつもこいつもいじめられっ子だろ? 訓練を受けたSWAT隊員じゃない。やつらはイングラムM11マシンガンでも持ってるのか?」  なんだか蒲生の論調も、結局は白黒王子みたいになってきた。逃げるにせよ、戦うにせよ、相手はいじめられっ子、どうとでもなるというわけだ。  でも、本当にそうだろうか?  小学校のとき、クラスに島村といういじめられっ子の男子がいた。父親が国の偉い官僚なのを鼻にかけた嫌なやつだった。  すぐ泣くので〝鼻水べーべー〟と呼ばれていた。いじめに遭うと、大声で泣きわめき、父親が学校に怒鳴り込んでくる。その繰り返しだった。  その日、いつものようにからかいの標的になった島村は、なぜか泣かなかった。無言で教室隅の掃除用具を入れてあるロッカーを開け、中からモップを取り出すと、 「うわああああ」
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