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絶叫しながら、長いパイプの棒を振り回しはじめた。
金具のついた先端で顔面を横殴りされる男子、頭から血を流してうずくまる女子……教室は阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄と化した。
いじめにかかわっていた、かかわっていないは関係ない。まさに無差別テロだった。
キレたいじめられっ子はいちばんヤバい――。
それが十七年の短い人生体験で得た智也なりの考えだ。男も女も、子供も大人も、不良かどうかも関係ない。恐ろしいのは普段おとなしい人間がキレたときだ。そして、それはいつ、どんなタイミングで爆発するか予測できない。
だから、彼の人生のモットーは、君子(くんし)危うきに近寄らず。電車のホームでは絶対に先頭に立たないし、ヤバい目をした人が寄ってきたらすぐ逃げる。おかげで事故や命の危険にさらされることは一度もなかった。
「ねえ、中井君はどう思う?」
急に声がして、智也は我に返った。
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