第六章 封鎖された学園

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 金本のぽっちゃり顔がこちらに向いている。 「今みんなで話してたの。犯人が教室に入ってきて、出入り口のドアや窓もふさがれたらどうするのかって? ちなみに、山崎君は机や椅子を投げて犯人がひるんだ隙にバッドで襲いかかる。新田君は男子を人質に残して、女子は解放しろって犯人と交渉するそうよ。ええと、蒲生君は――」  気を遣ったのか、金本がいちおうガマにも話を振った。 「バットで襲いかかった馬鹿が犯人と爆死してくれた隙に逃げるね」  毒を吐くと、興味なさそうに学生服の背中を向けた。 「――だってさ。中井君はどうする?」  再びバトンが回ってくる。  金本の隣には森野佳織がいた。澄んだ黒い瞳が、じっと智也の顔を見つめてくる。こんな近さで、アイドル顔負けの美少女と向き合うと、それだけで頬が紅潮してしまう。
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