第六章 封鎖された学園

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「えと……その……何が不満なのか。誰が憎くてこんなことをするのか。理由を訊くよ。芹沢睦美さんも、あんな爆弾テロを起こしたのには彼女なりの訳があったと思うんだ。だから、僕はそれを知りたい。何の理由もなしに人を殺すような人はいないよ」  茶化す要素がまったくない受け答えに金本が黙り込む。山崎の手がぽりぽりと頭をかく。新田が両腕を広げて、ふわあ、とあくびをした。  場に白けた空気が漂ったときだった。 「理由がないとしたら?」  予想外の場所から声が飛んできた。  森野佳織だった。さっきまでとは別人のように表情が違う。瞳に真剣な色がある。何かに怒ってるような、何かすごく大事なことを問いただすような顔だ。
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