第六章 封鎖された学園

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「理由がない……って?」  智也の顔に戸惑いが浮かぶ。 「理由もなく人を殺しているとしたら、どうするの?」  ごくっと乾いた喉に唾を流し込み、智也が小さな声を絞り出した。 「……それでも話し合うよ」  少女の顔からふっと力が抜け、長いまつ毛のまぶたが伏せられた。二人の間の緊張した空気が弛緩(しかん)する。  金本が助けを求めるように白黒王子に視線を流すが、新田と山崎はお手上げとばかりに肩をすくめ合う。  キーンコーンカーンコーン。  黒板上のスピーカーから、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。ガタガタと椅子を鳴らす音がして、生徒たちが各々の席に戻っていく。白黒王子も次の授業の話をしながら離れていった。
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