第六章 封鎖された学園

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 マイクロバスが正面玄関の手前で停まった。自分のいる場所が三階なのと、建物の死角に入ってよく見えない。下を覗き込もうと、椅子から腰を浮かせたときだった。 「おーい、中井、さっきから何、窓の外ばっか見てるんだ」  教壇から但馬先生の声がした。ベージュのスラックスにグレーのカーディガンを着た、やや垂れ目がちの、朴訥(ぼくとつ)そうな顔がこちらに向いている。 「かわいい女の子がいて、見とれてたのか?」 「あ、いえ……」  教室が沸き立つ。森野さんがくすっと微笑んだ。恥ずかしさで頬が熱くなる。
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