第六章 封鎖された学園

40/77

818人が本棚に入れています
本棚に追加
/643ページ
「車が校舎に突っ込んでるぞ!」  南側のいちばん前の席にいる男子の米村が、天然パーマの頭を窓の外に出している。  席を動くなという先生の注意も忘れ、みんながいっせいに南側に集まってきた。窓を開け、次々に身を乗り出す。智也も人の間に頭を押し込み、地上を見下ろした。  正面玄関に突っ込んだトラックのお尻部分が見えた。車体の五分の四が建物内に入っている。タイヤで踏み越えられたのか、校庭の手前にある花壇の草花がなぎ倒されていた。 「どっかの爺さんが、ブレーキとアクセル間違えたんだろ」 「動画撮っとけ。テレビ局に売れるぞ」 「おい、下に見に行こうぜ」 「馬鹿、ガソリンに引火して爆発したらどうすんだよ」  原因がわかったせいか、生徒の間から軽口が出るようになる。
/643ページ

最初のコメントを投稿しよう!

818人が本棚に入れています
本棚に追加