第六章 封鎖された学園

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 教室前方のドアに但馬先生が歩き出したとき、黒板上のスピーカーにスイッチが入った。 「これは緊急放送です。先ほど校舎にトラックが衝突しました。乗っていたのは逃走中の凶悪犯です。犯人は現在、凶器を所持した上で学校内を逃亡しており、警察が捜索中です。生徒は教室から出ず、警察の指示に従ってください」  聞き慣れない若い男の声だった。警察関係者だろうか。緊迫が伝わってくる。 「繰り返します。犯人は凶器を所持し、非常に危険です。生徒のみなさんは絶対に教室から出ず、警察の指示に従ってください」  生徒の間にどよめきが広がる。「マジかよ」「私、怖い。ここにも来るの?」「3階に来るまでには捕まるよ」。不安とそれをなだめる声が乱れ飛ぶ。女子の中にはもう泣き出している者もいた。  森野さんが唇を噛みしめ、不安げな顔を向けてきた。智也は小さく顎を引いて、大丈夫、心配しないでいいから、と目顔で告げる。
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