第六章 封鎖された学園

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 マイクロバスから降りるときもそうだ。どこかの野球部が遠征試合にでも来たように、落ち着いて荷物を下ろしていた。  あれが凶悪犯を追ってきた警察官か?  考えれば考えるほど腑に落ちない。だが、他の生徒は、トラックが校舎にぶつかった後に窓の外を覗いているので、事情を知らない。話し合える相手が他にいないもどかしさがあった。  誰に相談すればいいんだろう? 先生か? ガマか? それとも森野さん?  しかし、クラスには、放送で筋の通った説明がされたことで、特に体育会系の男子を中心に犯人に立ち向かおうとする空気が生まれはじめていた。  女子の多くはまだおびえていたが、〝凶悪犯逃亡説〟に納得しているのは同じだ。今よけいなことを言っても場を混乱させるだけだ。  誰かが「バリケードを作ろう」と言い出した。但馬先生も賛成し、廊下側の生徒が立ち上がり、机と椅子を移動させはじめた。
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