第六章 封鎖された学園

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「よし、廊下側の列の人、自分の机と椅子を移動させてドアを塞いでくれ。他の人は席でそのまま待機」  但馬先生が指示を出すと、北側の列の生徒が立ち上がった。がたがたと机と椅子が鳴る音がする。教室の二つの出入り口の前に、即席のバリケードができあがっていく。 「妙だな……」  前の席からガマの声がした。 「どうしたの?」  この偏屈(へんくつ)な少年の独り言を拾うのは智也しかいないので、いつもの癖で聞き返した。 「あいつの防弾ベストには〝SIT〟って書いてあるだろ? あれは警視庁の特殊捜査班係の呼称だ」 「うん、よくドラマや映画に出てくるよね」 「勘違いされやすいんだけど、SITっていうのは、あくまで警視庁での呼称であって、各県警で特殊班の呼び名は違うんだ。大阪府警ではMATT、神奈川県警ではSIS、埼玉県警ではSTSだ。ここは川越なんだぜ? なんでSITが出張(でば)ってくるんだ?」
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