第六章 封鎖された学園

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 智也は戦慄(せんりつ)した。偽警官、という言葉が頭の中に浮かぶ。  ガマにトラックやマイクロバスがやって来た事情を言うべきだろうか? でも、どこから説明すればいいんだ? 第一、ガマに教えたとしてどうなる? 相手はマシンガンを持ってるんだぞ!    智也の目が、二つの出入り口に積み上げられる机と椅子に向けられる。  バリケードは外から敵を防げるかもしれないが、自分たちも脱出しにくくなる。ここは三階だ。窓の外にバルコニーはない。このままだと、あの〝偽警官〟と一緒に教室に閉じ込められるのでは?  一方で、あの校内放送を信じたい気持ちはあった。すがるといってもいい。警官は本物のSIT隊員で、東京から犯人を追ってきたのだと、必死に自分に言い聞かせた。  だが、喉元を押し上げてくる不安の塊は、今にも口からこぼれそうだった。顔が青ざめ、脂汗が額ににじんだ。
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