第六章 封鎖された学園

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「はい、我々の仲間が各教室に一人ずつ、みなさんを〝警護〟するために向かっています。だからご安心ください」  先生が黒王子の肩をなだめるように叩く。 「だそうだ。だから落ち着け。席へ戻れ」  肩から力を抜き、山崎が自分の席に力なく足を進めた。但馬先生の説得に納得したわけではなく、銃口の無言の圧力のせいだろう。  仕切り直すときの癖で、先生が両手を打つ。 「ええと、バリケードを組んで机がなくなった人は窓側に行ってくれ。なるべくドアから離れた場所にみんなで固まろう――で、いいですよね?」  爆弾ジャケットを着た男が無言でうなずき、ようやく銃口を下げた。  誰もが変だと思っていたのに、先生は男をあくまで〝警官〟として扱った。たぶん、相手を刺激したくなかったのだろう。あるいは、そうだと思いたかったのか。
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