第六章 封鎖された学園

55/77

818人が本棚に入れています
本棚に追加
/643ページ
「決まったな――」  前からガマのぼそっとした声が聞こえた。 「な、何が?」  声をひそめて智也が訊き返す。  あいつだよ、と教壇の上に立つ男に顎を振る。 「偽警官さ」 「まだそうと決まったわけじゃ――」  自分たちが警官の身分をかたる何者かと、一緒の教室に閉じこめられている現実を受け入れたくなかった。 「警官が一般人に銃口を向けるかよ。ありえねー話だ」  冷笑混じりのガマの声が聞こえたのだろう。周りの席で息を呑む気配が伝わった。緊張は静かなドミノ倒しのように教室全体に広がった。
/643ページ

最初のコメントを投稿しよう!

818人が本棚に入れています
本棚に追加