第六章 封鎖された学園

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「生徒諸君――」  テレビと同時に、黒板上のスピーカーからも声が流れた。さして低いわけでもないのに威圧感のある、よく通る声だった。 「本校は、ただ今より教室自爆テロクラブの支配下に置かれる。繰り返す。川越第二高校は、現時刻をもって我々の占領下に置かれ、日本国の法秩序から外れる。警察権を含む、日本国の公権力はいっさい排除する」  すうっとみぞおちのあたりが冷える。教室自爆テロクラブ――今の日本で、これほど禍々(まがまが)しい名前が他にあるだろうか? 悪い夢なら覚めてほしかった。 「川越第二高校は、日本国より独立し、学園内は治外法権となる。治安、裁判制度も含めた、すべての法秩序は、我々が定める新たなルールのもとで運用される。諸君らは、言わば我が国の国民である」  金髪オールバックは、淡々と〝独立〟を宣言した。その静かで落ち着いた口調と裏腹の、めちゃくちゃな内容に狂気を感じずにいられない。
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