第六章 封鎖された学園

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 だいたい何が独立国家だ。ここは郵便番号350、埼玉県川越市だ。いるのは普通の高校生。どいつもこいつも、親からだって〝独立〟できてない扶養家族だよ。 「我が国の秩序を乱す者は、革命裁判によって罪刑を決める。体制に反旗をひるがえす者には、国家反逆罪を適用し、裁判を経ず即処刑する。国外への逃亡はいっさい認めない。諸君らにできる唯一の忠誠は絶対服従である」  智也の顔がゆがむ。国民の義務が〝絶対服従〟って、どこの独裁国家だよ。 「手始めに粛正(しゅくせい)をおこなう。まずは諸君らの教室にいる教師を排除せよ。方法は君たちに任せるが、すみやかな行動を期待する。粛清が遅れたクラスの生徒には厳罰を与える」  シュクセイ? 智也は膝上のスマホで言葉の意味を検索した。  粛正(しゅくせい)――反対者や体制を脅かす存在を排除すること。独裁政党などで行われる弾圧。英語ではpurge(パージ)。
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