第二章 生存者インタビュー

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* 三年後  三人掛けの優先席の真ん中に、二人の白髪の老人に挟まれて、学生服姿の少年が座っていた。  年の頃は十五、六歳。しゅっと伸びた眉の下に、冷たく冴えた眼差し。整った顔立ちといっていいが、どこか大人びた表情をしている。  紺色のピーコートを着て、袖口からは黒い手袋がのぞいていた。耳にイヤホンをつけるでも、スマホを見るでもなく、じっと前を向いている。  平日の朝七時半、電車内はぎゅう詰めというほどではないが、座席はすべて埋まり、立っている乗客も多かった。  十月に入り、寒さが深まってきたせいか、コート姿やマスクをしている人の姿も目についた。
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