第六章 封鎖された学園

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「……そ、そうだ! 先生、ちょっと外の様子を見てくるよ。さっきの放送は誰かのイタズラだろう。みんなはここで〝警察〟の人と待機していてくれ。――あの、お巡りさん、生徒たちをお願いします」  教え子を〝偽警官〟に託すと、ドアの前に積み上げられた机と椅子を下ろしはじめる。焦って椅子を自分の足の上に落とし、「痛っ」と顔をしかめる。 「先生――」  すっとマシンガンが持ち上がり、教師の背中に照準が合わされる。 「動かないでください。先生の処分は、ここにいる生徒の手に委ねられたのです」  但馬先生がゆっくり振り返る。見つかった泥棒のように恐ろしい顔をしている。丸顔をぶるぶる振る。 「いやいや、そうは言ってられません。私には生徒たちを安全な場所に避難させる義務がある。東の非常階段なら大丈夫でしょう。確認してすぐ戻ってきますから」  再び背中を向け、バリケードに手をかけたときだった。
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