第六章 封鎖された学園

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 タララララと音がした。バネ仕掛けのおもちゃの鉄砲から発せられたようなそれは、銃声のようだった。  ようだった、というのは、この教室ではないからだ。  但馬先生がぼんやりした顔を天井に向けた。  四階にある三年生の教室から、女の悲鳴と机や椅子の倒れる大きな音がする。いや、上階だけではない。隣の教室からも、廊下越しに銃声やガラスの割れる音が聞こえてくる。悲鳴のコーラスが続く。  な、何が起こってるんだ?……  智也が顔を強張らせる。音しかしないので想像するしかない。ひとつだけ言えるのは、今この校舎全体で、何か異常なことが進行していた。
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