第六章 封鎖された学園

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 遠くでガシャンとガラスの割れるような音がして、どさっと重い土嚢(どのう)が落ちたような鈍い音が続く。  窓際に座っていた智也は、外の様子をそっとうかがった。  校舎の下、アスファルトの地面に人がうつ伏せで倒れていた。ゴム人形のように手足がてんでばらばらの方向に曲がっていた。突っ伏した顔の周りに赤い水たまりが広がっている。  人が落ちた?……  制服ではないし、背格好から生徒ではない。大人の男性だ。ベージュのチノパン、上はスポーツ系のジャージ。離れた場所に黒いサンダルが転がっている。服装に見覚えがあった。英語の梶田先生だ。  なんで梶田先生が? 逃げようとして教室の窓から落ちたのか? 「やめろ! みんな、やめてくれ!」  別の男の叫び声がした。西側、すぐ隣の二年B組の教室からだ。必死に手すりにつかまろうとしているのは数学の山元先生だった。
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