第六章 封鎖された学園

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 関西出身、将棋部の顧問、趣味はスイーツ作り、ヤマゲンの愛称で呼ばれる二十代の太った男性教師が、窓の手すりに必死につかまろうとしている。  智也は見た! 小太りの体を建物の外に押し出そうとしている無数の腕は、自分と同じ黒い制服を着ていた。  尾を引くような悲鳴を残し、ヤマゲンが地面に落下した。ちょうどうつ伏せで倒れていた梶田先生のそばにぐしゃっと落ちた。  お尻を突きだした奇妙な格好のまま、ぴくりとも動かない。顔の周りに赤い血がにじんでいる。  違う! 落ちたんじゃない……落とされたんだ。B組の生徒がヤマゲンを突き落としたんだ!  悪夢を見ているようだった。あの放送の後、他の教室でいったい何が起こったのか。どうしたらこんな恐ろしいことができるのか。銃を持つ相手に強要されたのか。
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