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玄関ドアの横の壁に『瀬戸』という表札がかかっていた。
インターホンを押し、しばらく待つ。二度目を鳴らそうとしたとき、白木のドアが開き、四十年配の小柄な女性が姿を現した。薄いグレーのセーターにニットのベストを重ね着している。
拓巳はぺこりと頭を下げた。
女性に「どうぞ」と玄関に招き入れられる。靴を脱ぎ、段差の低い上がり框(がまち)でスリッパに足を通した。この家に来るのは二度目だ。前回は玄関に上げてもらえなかった。
「急にお呼び立てして申し訳ありません。主人が警察に届ける前に、新堂さんにご相談してみてはどうかと申すものですから……」
疲れをにじませた顔で女性が言った。もともと小柄な身体が小さく見えた。髪を染める余裕もないのか、白髪も増えている。
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