第六章 封鎖された学園

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 だが――今朝、母親から拓巳の携帯に連絡があった(瀬戸茜が心変わりしたらすぐ教えてほしいと番号を伝えておいた)。至急、会えないかというのだ。すぐに拓巳は家を飛び出した。 「今朝、朝食を届けに行っても返事がなくて……珍しくドアの鍵がかかっていなかったので開けてみたら……茜がいなくなっていたんです。靴がないので外に出て行ったようです。もちろん学校ではありません」  階段を上りながら、母親が言う。 「警察には連絡したんですか?」 「いえ、それがまだ――」  瀬戸茜の両親と警察の関係はうまくいっていなかった。死の間際にあった芹沢睦美に少女が自爆スイッチを渡したという報道は、警察側からリークされたという噂があった。両親は警察を信用していない。
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