第六章 封鎖された学園

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 床には、カップ麺の空き容器、お菓子の袋、空き缶やペットボトルが散乱している。 「すいません。あの子、部屋に入れさせないものですから、掃除や片付けもできなくて――」  母親が申し訳なさそうに恐縮する。  ベッドと机と本棚。普通の女子高生の部屋――とは言えなかった。  壁一面に、新聞記事やプリントアウトした資料がピンで留めてあった。英文のものもある。城岩中学爆破事件に関する記事も貼られている。芹沢睦美の顔写真や自爆テロ事件を時系列にまとめた表らしきものも。 「あれは――」  拓巳の視線が壁の一点でとまった。  記事や資料のいちばん上のレイヤーに〝それ〟は貼り出されていた。目にした瞬間、なぜ両親が警察にすぐ届け出なかったのか拓巳は理解した。
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