首絞めの呪い

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    6  振動が伝わった。  荒い振動が頭を伝わり、メイサは目を覚ました。バスのシートに横になって眠っていたらしい。  窓の外からはまだ高い西陽が射し込んでいる。例のごとく車内に二人以外客は居ない。  横にはソルクが距離をとって目を瞑っていた。寝ているようだ。  昼下がりの3時頃、メイサとソルクはバスに乗ってカイストルへの帰途についていた。しかし、バスに乗ったあと落ちるように眠ったソルクを筆頭にメイサもそれまで張りつめていた気を緩めたので眠ってしまった、というのがこの状況である。  開けてある窓から流れ込む涼しげな風は、ソルクの長い前髪を揺らしている。彼の端正な顔立ちは横からみるとますます際立った。  無性に悪戯をしたい気分になったメイサは、寝起きのおかしな好奇心にかられてソルクの頬をつついてみることにした。  そっと忍び寄り指を突き立てようとする。 「寝込みを狙うとか、失礼にも程があるんじゃないか」 「お、起きてたの……」 ソルクは目を瞑ったまま耳だけは起きていたらしかった。 「あんたのしそうな事は大抵予想がつく」 「ああ、そう……」 抜け目ない年下に、メイサは半ば今後も出し抜くのは無理だと諦めた。
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