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そんなソルクの横顔を何となく見ていると、少し赤くなっている部分があるのに気付いた。そこでメイサは、はっとして改まった。
「その……さっきの事なんだけど……」
ソルクがこちらを見る。
「打っちゃってゴメンなさい。わたし、感情的になってつい手が出てしまったわ」
ソルクはそのままの状態で言う。
「あんたのそういうところは予想がつくってさっき言ったばかりだろ」
メイサは小首を傾げた。
「え? じゃあ私がユカを打つのが解っていたの?」
「あんたみたいなおつむが猪みたく単純な奴には簡単な誘導だった。……まあ、ちょっと痛かったけど……」
と、横目で睨んでくる。メイサには耳が痛い事だ。つまりはソルクの一変した口調は、メイサにユカを打たせるための誘い込みだった訳である。メイサはいとも簡単に誘いに乗ってしまった己の安直さが恥ずかしくなった。
ソルクは決して多くは語らない。それ故にソルクの言動には理解出来ないところが多いのだ。
メイサは、また窓の外を見ているソルクをじっと見つめて束の間考えた。
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