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それから思い付いたようにはっとすると、メイサは座り直して背筋を伸ばした。
「ソルク・バル・ラドライ・オリステラトス様。今回はわたくしにかけられた呪いを解いて下さり、本当にありがとうございました。わたくしの不注意が招いた今回の出来事は、たくさんの人に多大な迷惑をかけました。この事を深く反省し、今後、このようなことが2度と起こらぬよう一層努力精進致します」
そしてメイサは深く頭を下げた。
ソルクは少し驚いたように目を丸くしたが、すぐに姿勢を正して礼を返した。ソルクは頭を下げたままメイサを睨んだ。
「何のつもりだ」
「私の行動が予測出来るのでしょう?」
そう言ってメイサは笑った。ソルクは決まりが悪そうに顔を逸らす。
何はともあれ一件は落着した。安堵は大きい。だが、これから先の不安もある。
しかしそんなことより、メイサはこのムカつく恩人に豆鉄砲を食らわせられてとても上機嫌だった。
外には青い小麦畑が広がる。メイサの心の中は春の細雨が上がった後のように清々しい風が吹いているかのようだった。
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