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「困ってる人がいるって事ですね。」
朝藤さんが小さな声でポツリと何か言った。
そしてそのままゆっくりと前に出る。
「あの、先輩。私、困ってる人を助けたいんです。でも、あそこに行くのに不安なので、近くに行くまで手を握ってても良いですか?」
何かを覚悟したかのように、私の目を見てキッパリと言い切った。魔法陣を背に私の前に立ち、カバンを握りしめた手をギュッと握る。
「……ふざけてんの?正直、私が知ってる 物語 の話しだからね!違うかもしれないんだよ?!しかも合ってたとしても、何が出来るっていうの!とにかく、此処から逃げるよ!何にせよこんな感じなやつ、面倒臭い事に巻き込まれるって感じじゃん!
もしかしたら、ただのドッキリだったって可能性もあるけど!!」
そこで、ハッとして冷静になる。
ちょっと待って。本当にドッキリかも知れないじゃん。
どっかにかカメラが設置されてて、朝藤さんを驚かそうっていう歓迎会を兼ねた催しとか、朝藤さんの可愛いところを見たいっていう先輩たちの酔った時のおふざけ話しの延長戦とか(本当に悪ノリを実行に移しちゃうハイスペック姐さんいるし)。
何だ、そっちの方が現実的じゃない。
何だか、取り乱してた自分が馬鹿みたいに思えてきた。
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