可能性

3/7
前へ
/36ページ
次へ
「…………繋がった。」 聞こえるか聞こえないかギリギリの声で、王女が囁いた。 そして、魔法陣が神々しく輝き出す。自分の体の魔力も呼応するかの様に蠢き、引きずられる様にして引っ張り出される。 ソレは今までに無いくらいの消費量で、意識が奪われそうになった程だ。今だに目眩が酷いが無理矢理陣の中を睨む。此処で倒れるわけには行かない。だが、足が震え膝をつく。ここ2日の消費で体の方も負担が大きかったらしい。 普段であれば、魔力が僅かでも残っていれば走るくらいなら、どおって事でもなかった。 (クソッ、せめて守れる体制に戻らねば。) 膝に手を付き体制を整え、王女を守るべくその背後へ駆けつける。自分の足では無いかの様に走りにくかったが、そこは気合いで乗り切る。 王女に手を出そうものなら切る! そう言わんばかりに剣に手を掛け構えた。 例え文献通りに儀式を終えたとしても、敵が出たならば王女だけでも守り抜かねば。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加