きっと私は全てが終わる前に消えている。

全ての可能性への努力

8月の繁忙期が終わり、月締めも終え ゆっくりと帰り支度をする夜に近い時間帯。

明日になれば9月。そして私の21歳の誕生日でもある。別に祝う人が居るわけでもないけどね。

別に今日家に帰っても、今や誰もいない我が家で、ご飯を食べてメイク落として風呂入って寝るだけなんだけれど。

まあ、明日は休みって考えるだけでも、気は晴れるってもんだけどさ。

（誕生日が休みだったってだけでも喜ぼう。そんでもって自分の為の誕生日プレゼントとお酒を買いに行こう。）

何て事を、ため息と共に空気中に吐き出してカバンを持つ。

しかし、ロッカーの扉を閉めていざ帰らんとすると、バタバタと誰かが走っているような音がする。

（ちょっ、何なになになにっっ？！！）

慌てて更衣室の扉から離れるように、奥の方へ後ずさる。何だか知らないが、こちらの方に走ってきてるのは分かる。

そして次の瞬間、その人は勢いよく扉を開けて飛び込んできた。

瞬く間に更衣室の鍵をガシャリと閉め、私の居る奥の方に逃げて来た。

そこで漸く、飛び込んで来た人物が誰なのか分かった。

新入社員の朝藤さんだ。