2 切なくも楽しい春の思い出

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 三人でレジャーシートに座ったまま、次はどの花びらが地面に落ちるかゲームに夢中になっているうちに、太陽の角度がだいぶ高くなってきた。  だいたい、12時くらい。  結局、お昼ご飯を食べるのは、いつもの時間になってしまった。 「そろそろ、お弁当を食べようか」 「待ってました!」 「ぺったんこのお腹ちゃんが、いただきますって言ってるよ!」  お花見を楽しみながらのお弁当に、香奈も蓮花も大はしゃぎ。  二人とも落ち着かない様子で、そわそわそわそわしている。 「ちゃんと座って食べなさいね」  ちょっとした興奮状態の香奈と蓮花を落ち着かせて、レジャーシートにお弁当を広げた。 「いただきます!」  三人揃って食前の挨拶。    香奈は、ウインナーを一気に口に放り込んだ。  蓮花は、卵焼きをモグモグと美味しそうに食べている。  私は、塩むすびを頬張った。  今日は、朝から5キロ以上も歩いた。  いっぱい歩いた後に食べる塩むすびは最高に美味しい。  ゆっくり食べなければいけないのに、どうしても早く食べてしまう。  香奈と蓮花も普段より早く食べている。  塩むすびも卵焼きもウインナーもみるみる減っていく。  今日は、それでいい。  せっかくのお花見だから。  帰り道も元気に歩けるように、ポテトチップスとクッキーは、午後の3時頃までおあずけ。
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