2 切なくも楽しい春の思い出

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 どうすれば、香奈と蓮花が元気を取り戻してくれるのか。  お話好きのおばさん家族が囲んでいる豪華なお弁当を見つめながら、私は考えた。  やっぱり、あの手しかない。 「今日の晩ご飯は、ハンバーグにしようか」  私のひと言で、ずっと下を向いていた香奈と蓮花がようやく顔を上げた。 「ほんと?」 「ハンバーグ! ハンバーグ!」  さっきまでの暗い表情はどこへやら。  香奈と蓮花の表情は一瞬で明るくなり、一気に元気を取り戻した。  私はホッと胸を撫で下ろした。 「レトルトじゃなくて、手作りのハンバーグね。野菜サラダも作るわよ。デザートは、プリンとアイスクリームにしようか」  新しい靴と服が欲しいけど……。 「すっごく豪華だね!」 「プッチンプリンにしようよ!」  この上ない笑顔で叫ぶように言った香奈と蓮花はレジャーシートから立ち上がり、周囲に落ちている桜の花びらを拾い始めた。  一枚一枚、そっと指で摘んで、大事そうに拾い集めている。  額に汗を掻きながら、黙々と拾い集めている。  拾った桜の花びらを、レジャーシートの上に置いている。    ほんの十数分間で、桜の花びらの小山が出来上がった。
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