2 切なくも楽しい春の思い出

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 香奈と蓮花はひそひそと何かを話し、お互いに耳打ちし合い、レジャーシートの上に置かれている桜の花びらを両手ですくった。  小さな手のひらの上に、桜の花びらがいっぱい。  まるで日本昔話のご飯のような、てんこ盛り。  一生懸命に拾い集めた美しい桜の花びらたち。 「あゆ姉ちゃん、ささやかだけど、入学祝いだよ」 「いつもいつもありがとう!」 「せーの!」  恥ずかしそうに声を上げた香奈と蓮花が、私の頭上に薄ピンク色の桜の花びらを撒いた。  すぐ目の前で、ひらひらと雪のように舞っている桜の花びらたち。 「わあ、すごく綺麗」  自然と声が出てしまう。  ほんの一瞬の出来事だったけど、私の体は優しさ溢れる美しい桜吹雪に包まれた。  胸がじーんと熱くなってくる。  目頭も熱くなってくる。  嬉しさという温かさで全身が火照ってくる。  私はぐっと涙を飲み込んだ。 「香奈、蓮花。最高の入学祝いをありがとう」 「えへへ」 「あとでもう一回してあげる」  私の目の前に立ったまま、とっても嬉しそうにはにかんでいる香奈と蓮花の顔を交互に見つめた。  家に帰ったら、香奈と蓮花の体を思いっきり抱き締めてあげようと思う。    来年の春も、この三姉妹でお花見ができますように。  再来年もその先もずっとずっと。  こども自然公園の桜さん、楽しい思い出をありがとうございます。  また来年の春も、よろしくお願いします。  妹たちに慕われていると改めて感じた、入学式3日前の出来事。
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