3 憧れのランドセルと無口な転校生

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 入学式前日の午前中、私一人だけで総合スーパーに足を運んだ。  食料品も日用品も衣料品も、何でも割高の総合スーパーに来たのはかなり久しぶり。  前回、来たのは確か、半年くらい前だった。  その時は、陳列されている商品の値段をチェックしただけで、何も買わなかった。  私がいつも通っているスーパーより、二割くらい高いのだから、買うわけがない。  三階建ての広い総合スーパー。何がどこに置いてあるのかわからない。  迷って時間を無駄にしないように、入り口にある案内図を見た。  私のお目当ての品物は、三階の子供と暮らしのフロアにあるはず。  安かったらいいな。と思いつつ、滅多に乗らないエスカレーターに乗って、三階の子供と暮らしのフロアに上がった。  まだ春休み中とはいえ、平日の10時前の午前中。  お客さんの数はまだ少ない。  今のところ、家族連れの姿は私の視界に入らない。  ベビーカーを押した若いママさんの姿は見受けられる。  どこにあるのかな。  私は小さく独り言をつぶやき、広いフロアを歩き回って、お目当ての品物を探した。
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