懐中電灯と弔いのチョコレート

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午前中は、大きな被害にあわなかった。 クラスメイトたちは、ときおり「上履きがカビ臭い」とののしるくらいで、あとは終始ニタニタと蔑んだ笑顔を向けてくるだけだった。 何か私の知らないところで出来事が進行しているんじゃないだろうか。 心配になった塔子は、昼食を早々と済ませ、図書室へ駆け込んだ。目的は、パソコン。 クラスメイトたちのグループチャットを確認したかった。いつもならスマホで見るのだが、それはできなかった。 猟奇殺人カメラマンに奪われてしまったから。 サイトを立ち上げログインすると、案の定、チャットは塔子の話題で持ち切りだった。 『ハチ、超ウケる!』 『何度見ても腹が痛い wwww』 『さすが、ハチ。見事な上履きヘディング』 どうやら、自分が笑われているらしい。 ちなみに、ハチとは塔子のあだ名だ。 いや、あだ名とは言えないか。ただの出席番号。 2年D組8番、小原塔子。 SNSの中で、彼女は番号で呼ばれていた。 『ハチ、自殺失敗!』 『絶対に笑える動画は、コチラ』 リンクをクリックすると、大手動画サイトにつながり、ムービーが流れ出した。
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