懐中電灯と弔いのチョコレート

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放課後、塔子は体育館の第二倉庫に身をひそめていた。 バタバタと通路を走る音が聞こえる。 倉庫に入って来たのは、三人だ。白川千絵と、その取り巻きの柏原久美と大城正美。 「ハチ、てめぇ、ふざけんなよ!」 すごい剣幕で怒鳴っている。 それもそのはず、塔子は白川千絵の外履きを奪っておいた。 ローファーの代わりに、折れた卓球のラケットを下足箱に突っ込んでやった。 塔子は彼女たちがここへ来るのを待ち構えていたのだ。 「チエ、ほら、あそこ」 柏原久美が、天井の梁にローファーを見つけた。 今朝、塔子の上履きが置かれた場所と全く同じところ。 でも、首吊り用のロープは用意していない。そんな悪趣味なもの、必要なんてない。 塔子は、跳び箱の影から手を伸ばし、鉄の扉を閉めた。 「あっ、このやろう!」 「閉じ込められた!」 「ハチ、ぜってぇぶっ殺すかんな!」 倉庫内は、真っ暗闇。ここには、窓も換気口もない。
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