いわれなき説教と扇風機

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体育の授業が終わると、女子たちは更衣室で着替えを始めた。 体操着を脱ぎ、身体中の汗をタオルで拭う。 みんなが更衣室中央のベンチに腰かけながら、ゆったりと着替えているのに対し、塔子は一番端のロッカーに追いやられ身を縮めて体操着を脱いでいる。 もし誰かに伸ばした手がぶつかれば、十倍、二十倍になって返ってくるから。 野村かほりは、下着姿でベンチに座っていた。大股を広げて。 「熱ぃなあ、だから梅雨どきの体育は嫌なんだよ。蒸してしょうがない」 まるで風呂上がりのオジサンみたいに、タオルで身体をあおいでいる。 「あれ、何これ。ちょうどいいのがあるじゃん」 更衣室の角に扇風機を見つけ、コンセントをつなげてスイッチを入れた。 彼女は扇風機の前を陣取り、全身で風を受け止めた。 「ああ、気持ちいい。でも、何か臭くない?」 それは、処刑場ホテルから持ってきた、レトロな扇風機だった。 塔子があらかじめ用意しておいたのだ。きっと、傲慢な野村かほりが使うだろうと予測して。 雑巾で磨き、ホコリを拭いて、見た目はだいぶマシになっている。
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