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周りの子が野村かほりの身体を支え、残りの子が扇風機を引っ張る。
羽根は、髪の毛から離れるのが嫌なのか、回転の力は弱まらない。
彼女の髪は、ほぼすべてが巻き取られ、羽根が頭を擦りそうだ。
髪の毛が大好物の扇風機。そんな気持ちの悪いものが、この世にあるなんて。
「痛い、痛い! 誰か、止めて!」
野村かほりの絶叫の合間に、嫌な音が聞こえてきた。
ブチブチと髪がちぎれる音。
ブツブツと頭皮から無理やり髪が抜かれる音。
「助けて、助けて!」
慌てふためく彼女たちを割って、塔子が救いの手を差し出した。
そこに握られていたのは、キッチンバサミ。
「私が髪を切ってあげようか?」
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