いわれなき説教と扇風機

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口をモゴモゴさせることしかできない彼女を、美容師は鏡越しにジッと見つめた。 「長めかな? 短めかな?」と悩む美容師に、塔子は一世一代の恥ずかしい言葉を放った。 「可愛くしてくださいっ」 美容師は、ニッコリと笑って「任せて」と答えてくれたのだ。 教室に現れた塔子を、男子の視線が追いかけてきた。 気恥ずかしくてしかたがなかったが、いつもと変わらないふうを装って席に座る。 塔子には、教室の空気が変わったような気がした。 〈 つづく 〉
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