電気ポットと水色の上履き

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水モップの先端が、口の中へ押し込まれた。 砂とホコリとカビの入り混じった不快極まりないしぼり汁が、舌先にまとわりついた。 堪らず、塔子の口から胃液が吐き出された。 今朝、朝食代わりに飲んだ牛乳と一緒に、白濁した反吐を床にぶちまけてしまう。 「汚ねぇなあ。ちゃんと自分で掃除しとけよ」 ゴリラとヘビ二人は、塔子に水モップを投げつけて、「一服してくるか」と、教室を出て行った。 クラスメイトからの、冷たい視線と嘲笑。 彼女は、口を袖で拭いながら、水モップを握りしめた。  ※ ※ ※ ※ ※
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