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処刑場ホテルの正面玄関は、厳重に閉じられている。
つい最近つけられた内鍵のせいで、叩いても引っ張っても開きはしない。
でも、その横の窓の警戒は、笑えるほど甘い。雨戸は女子高生の力でも、簡単に外れた。
塔子は、窓をまたいで易々と侵入する。
書斎に直行し、陳列棚に並ぶアンティーク風の品々を見つめる。
さて、今日はどの品物を借りて行こうか。
「これには、どんなチカラがあるのかしら?」
塔子が気になったのは、古びたポット。
コンセントが伸びていることから、電気で湯を沸かす道具だとは想像がつく。底面には、電球を模した刻印が施されていた。
「湯気が幽霊の形で噴き出してくるとか・・・腐敗臭のするお湯が沸くとか?」
ものは試しだ。バッグの中に持っていたミネラルウォーターを注ぎ、コンセントをつなげて、スイッチを押した。
さて、どんなお湯が沸くのだろう?
「また、お前か。どこから入って来た!」
書斎の前を通りかかった殺人鬼に、見咎められてしまう。
「ちょっと道具を借りに来ただけよ」
「どこから入って来たかと聞いているんだ!」
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