電気ポットと水色の上履き

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「誰だ、そこにいるのは!」 ゴリラとヘビが、同時に声を出した。 二人に気付かれてしまった! もし私が個室に隠れて聞き耳をたてていることがバレたら、怒りが頂点に達した二人から、どんな仕打ちをされるか、わかったもんじゃない! 「おい、出て来い! 出て来ねぇなら、ドアぶち壊すぞ」 猛烈な勢いでドアが叩かれた。 塔子は焦りまくる。逃げ道はない。この場をどう切り抜ける?  二人の大男の体当たりで、個室のドアは破壊寸前だ。 どうする、塔子! 思いついた方法は、ひとつしかなかった。塔子は便器に座って、スカートの中へ手を入れた。 個室のドアが破壊され、二人の男子が中を覗きこむ。二人とも、鼻血を垂らし痣だらけの顔。 そこには、便器に座って用を足す小原塔子がいた。 パンツを膝までずらして、便器からは湯気が立ち上っている。 「ああ、ごめんなさい。女子トイレが混んでたから・・・」 もちろん、便器から立ち上っているのは、ポットから捨てたお湯の湯気だが、そんなことを二人は知る由もない。 「ションベン女! さっさと消えろ!」  ※ ※ ※ ※ ※
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