第1話 悲劇

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ディアブロ「あいつら…この時間から移動を始めたぞ…撤退するつもりか?」 バルス「いや、ちがう。あの方向は……」 バルス「俺たちの村だ」 ~ゲルマンの野営地~ バルス「ペトロフ将軍!!」 バルスの声は将軍のテントの外まで聞こえている程大きな声だ。 テントの中は他の一般兵のテントよりも3倍は広く、入ると目の前に大きな木製のテーブルが置いてありこの辺り一帯の地図が広げられていた。地図の上には駒がおかれていて、地図の横に所狭しとワインの入ったグラスや短剣やペンなどが置かれている。 ペトロフ「どうかしましたか?」 ディアブロ「相手に大きな動きがありました。相手は別動隊を派遣させて、この周辺にある村を襲うつもりです!!」 ペトロフ「ふむ…別動隊…。まだ戦いが始まって7日目、食料が尽きたわけでもあるまい…」 バルス「相手はこちらに悟られない様に山を通って迂回してきます。我々は明日の朝出発すれば相手が到着する前には村に着けます」 ペトロフ「君の言う通りだ。それなら朝に発てば十分村人を守りながら相手を撃退することができる。」 ペトロフ「2人とも報告ありがとう。今日はゆっくり休んで明日の朝に控えてくれたまえ。」 ペトロフは満面の笑みで2人に言う。 バルス・ディアブロ「はっ!失礼いたしました。」 二人はテントの外に出た。 その後、ペトロフは地図の上の駒をカチャカチャいじりながら独り言を言っている。 ペトロフ「クソローマ共の食料は尽きていない…。まだ戦いも佳境に入っていない。それでも相手は動く。そう戦いとはそういうもの…常に駒を動かす。目的に向かって動かす。仮にこの辺り一帯の村を全て助けだそうとするとこちらはどれだけの兵が必要なのか…。」 そしてペトロフは駒をガチャガチャ動かす。 ペトロフ「ふむふむ。なるほど…。ここでガチャーンとして、おーなるほどなるほど。それで敵は村を襲い……がちゃーーん!!」こう言うとペトロフは1つの駒をテントの中にいる衛兵に向けて投げつける。 ペトロフ「これ…私が死んじゃうじゃん…」
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