約束。

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やがてダダダッと響く7.7㎜機銃の発射音。 わざわざ地上で弾着痕を確認(当時は弾頭にペンキで色を塗り、その色で誰の撃った弾が何発吹き流しに命中したかを識別していた)しなくとも、96式艦戦に曳航されている標的用の吹き流しが端っこを銃弾に喰いちぎられる様が見て取れた。 それはすなわち、弾丸が狭い範囲に集中して命中している証。 因みに固定された機銃と旋回機銃の命中率を比べた場合、その差は7対1と歴然としている。 旋回機銃が1発当てる間に固定された機銃は7発も当たる計算になるのだ。 (まさかこいつが摩耶の? いや、それにしては若いし太ってるし口髭もない……) 心の中で松井教官。 もしや摩耶の砲術長が中攻乗りに? …と彼が錯覚してしまった程、狼中尉の撃った弾は至近距離から撃ったかの如く吹き流しの狭い範囲に命中している。 「もういい。 貴様は航法でもやってろ。 次、恩田やってみろ」 「はいっ!」 そう言うや否や嬉々として銃座についた副偵察員の恩田1空兵は、狼機長程ではないにしろ何発か標的に命中させたようである。 お陰で松井教官は、命中率ゼロを口実にしたメシ抜き制裁を諦めなければならなくなりつつあった。
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