2017年冬。

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 今年101歳の高齢者が老後の心配をし始めていると聞けば、大概の者が何を今更と吹き出すであろう。 しかし一式翁に言わせれば、航空機操縦ライセンスの更新が認められなくなった時が晩年の始まりであるらしい。 因みに一式翁、固定翼機のみならず回転翼機…… ヘリコプターの操縦ライセンスも所持している。 彼が年齢そして性別を超えた友人である宮之原ユキネに語った処に拠れば、慣熟訓練さえ受ければアパッチやヒュイコブラは勿論、今話題のオスプレイも乗りこなせる自信があるそうであった。  今更言うまでもない事だが、飛行機の購入と運用は勿論保管そして維持管理にも手荒くお金がかかるものである。 恐らく日本唯一であろうタライ専門店の売上だけでは当然追い付かないから、一式翁も孫陸も様々な副業を行っては社用機の維持管理費用を稼いでいるのだ。 そんな祖父と孫の代表的な副業は、勿論航空機パイロット。 雇われパイロットとして働く事もあれば、陸攻堂の社用機である双発のセスナか二式水戦複座型を活用する事もある。
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