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鳥松のこの言葉から、陸攻は漸く以前毒島中尉から言われた言葉の意味に気付く。
何故なら昨日毒島中尉は
「叔父上の戦死は気の毒だが、支那人に身内を殺されたのが貴様だけだと思わんことだ。
俺が正月に言った事を絶対に忘れてはならんぞ。
重ねて言う。
戦地に赴く前に心の支えをかき集めておけ」
…と言ったのだ。
そして毒島中尉が、同期の川野晶にこっそりと陸攻の近況を相談したと考えれば、徹・鳥松・季生がこの日加賀を訪れたことに十分納得がいく。
「青山さん…
コウやん…
マグさん…
鳥松君…
岡崎君…」
真冬の雪国を行く列車の窓ガラスが如く視界を滲ませながら陸攻。
陸攻と青山特務少尉そして赤井3空曹が加賀を退艦して鹿屋空へ転勤する事を決意したのは、それからすぐの事であった。
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